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「ディープな農村文化をマーケティング」:次世代が受け継ぐ!レジャーファームの新たな気風

台湾のレジャーファームは長年にわたり発展し、一代目の創業者たちの成功によって、次第にツーリズムのスタイルが作り上げられました。多くの農場では、二代目である子供たちへの世代交代が始まっています。産業の転換、市場の変化といった幾重ものチャレンジに直面し、彼ら1980年代生まれの後継者たちは、どのような戦術で応戦するのでしょうか?本編では大坑レジャーファームの蔡佳儒さんと、仙湖レジャーファームの呉侃薔さんにインタビューし、これまでの軌跡を語ってもらいました。

胃袋をつかむ 大坑シェフの地元「食材」

「今のお客さんは昔とは違って、農場主と交流することよりも、農場の物質的な環境やサービスのほうを重視しますね。」昔から今までの消費環境の変化について語る蔡佳儒さんの分析によると、昔は農場を訪れる旅行客の大半は、友人から勧められて来た人やリピーター客で、彼らは農場主から農家の暮らしについて色々聞きたがりました。しかし、今はインターネットが普及し、ネットの口コミから各地の観光情報を得られるので、残念なことに「すでに知っている情報を確かめる」気持ちはあっても、農家とディープな交流をしようという気持ちは逆に減っているのです。マーケティングにおけるチャレンジについて、蔡佳儒さんの指摘によれば、民宿やホテル業者が相次いで参入し、ディープなツアーを企画しています。多くの新しい観光スポットはネットであっという間に人気が広がり、旅行客のツーリズム市場が分散されています。そのため、新世代の後継者たちは、規模のより大きな海外市場へ目を向ける必要があります。彼女は、シンガポールやマレーシアなどからの旅行客も目下、レジャーファームの重要なターゲットだと指摘しています。<br/><br/>「幸い、姉妹が一丸となってチャレンジに取り組んでいます。姉の佳玲は営業広報を、私は農場のシェフを担当しており、妹の佳芸はカウンターで陣頭指揮を執っています」彼女は率直に、この消費動向の変化は、メディアの力を伴い、追い風でもあり圧力でもあるので、親の世代の接客哲学を受け継ぎ、大坑の特色や強みをうまく利用して、消費者に如何に最高のサービスを提供するかに専念しています、と語ってくれました。<br/>

蔡佳儒さんの見事な料理の腕前は、母親から受け継いだものです。また、大坑で農家をしていた祖父の影響で、地元の食材について熟知しています。彼女は田舎の食材に工夫を加えるのが得意で、例えばサツマイモと桜エビのグラタンやローズマリーソーセージは、旅行客に大変人気があります。そして、旬の農産物の一日または二日のディープツアーを企画しています。毎年行っているタケノコ料理がその良い例です。採れたてを料理したタケノコ料理はヘルシーで美味しいだけでなく、糖質制限ダイエットのコンセプトもアピールしています。かつて北部から旅行客がバスを貸し切って食べに来たこともあるほどで、東南アジアからの旅行客にも大変人気があります。

蔡佳儒さんによれば、大坑産のタケノコは繊維が細く、山間部の露を受けて甘みと歯ごたえがあります。新鮮なタケノコは和えものや煮物など、多様な調理法に合います。東南アジアでもタケノコを産出する国はありますが、繊維が粗くて酸味とえぐみがあり、主に加工品にします。<br/><br/>顧客開拓のため、蔡家の三姉妹は積極的に海外市場に出て、物語マーケティングで自家農場を宣伝しています。台湾では冬休みと夏休みが国内旅行のシーズンですが、東南アジアでは3~5月と9~12月がシーズンのピークで、時期的にちょうどうまくずれています。「日本人はガイドブックが好きなので、彼らにとって紙の刊行物はやはり重要です。シンガポールやマレーシアは、放送が効果的です」蔡佳儒さんは、海外マーケティングで得た収穫をこう語り、外国人旅行客の市場拡大にはかなりの自信が見えました。<br/>

文化を語る 東山農夫の生活美学

八年余り前、呉侃薔さんは兵役を終えて故郷に戻り、農業をしていました。世代交代の過程では、知られざるエピソードもあります。呉さんは故郷に戻ったばかりの頃、考え方の違いでしょっちゅう父親とぶつかっていました。「朝、父が置いたテーブルを、午後になると私が自分の置きたい場所に置きなおす、ということが半年間続きました。その時、私はお互いの美に対する感覚が違うことに気付いたのです」呉さんはジェネレーションギャップによる考え方の違いを調整するうちに、徐々にバランスポイントを見つけ、考え方を変えてみるようになりました。

「昔は農場の主力客は、観光バスでやって来るお年寄りの団体でした。彼らは農場にやって来るとカラオケを歌い、果物狩りを買い物とみなし、細部にまでこだわりました。このような仙湖は、よそとどこか違いがありますか?」観光学科卒業の呉侃薔さんは角刈り頭で考え込みました。彼は小さい頃から故郷のお年寄りの話を聞くのが好きだったことを思い出しました。東山の歴史や農作物、風習を一つの文化にして、産地と消費者との距離感を縮めれば、仙湖農場独自の特色を作り出すことができます。<br/><br/>彼はこれまでの果樹園の「採りながら食べる」やり方を、現在の「予約制」の果物狩り体験に変え、ガイドツアーを作りました。旅行客はまず果樹の下でお話を聞き、東山の竜眼(リュウガン)やそれを乾燥させるかまど小屋の文化とこの土地とのつながりを知ってから、お楽しみの果物狩り体験をスタートさせます。彼は国際トラベルフェアにも出展し、そこで外国人旅行客を接客した経験をもとに、農場のサービスレベルをアップさせました。フロントの受付、料理の研究開発、客室サービス、ガイドツアーから顧客の開拓まで、徹底的に仙湖農場のイメージチェンジを図ったのです。<br/><br/>現在、自由旅行の個人客は五割に達しています。彼らはこの農場の開墾物語に熱心に耳を傾けます。田舎独特の「助け合い文化」も、ディープなツアーや綿密な農業を好む旅行客を開拓したのです。<br/>

「果樹から収穫してグラスに注ぐまで、竜眼を植えることも、フランスでブドウを植えてワインを作るのと同じようにできます。私は生活の美学を定義する人間になりたいのです。」と、呉侃薔さんは笑いながら語ります。露店バーは彼が作ったアイデア実験室です。地元の農産物を使って調合したスペシャルドリンクや、手作りのスイーツがあります。例えば、かまど小屋で出来上がった竜眼肉(桂圓)と牛乳、自家製コーヒーを組み合わせた「竜眼ミルクコーヒー」や、竜眼肉ブラウニーなど。目の前のこの若者は、代々東山で暮らす六世代の物語を語ってくれました。その言葉の端々に故郷に対する熱い思いと、貴重な農村文化の保存への使命感が感じられるのでした。

大坑レジャー農場

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